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商品説明

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7 1/2
新品未使用

商品情報

カテゴリ メンズ
› 帽子
› キャップ
ブランド Supreme

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日本健康教育学会には、健康教育・ヘルスプロモーションを中心に幅広い分野で研究や実践に携わっている学会員の先生方がたくさんいらっしゃいます。
若手の会のメンバーが様々な分野で活躍する学会員の先生方に、これまでのキャリアや若手へのアドバイスをインタビューしてお届けします。

若手の会についてはをご覧ください。

目次

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第40回 新保みさ 先生 後編 「研究の進め方と若手へのメッセージ」

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第30回 吉池信男先生 後編 「若手へのメッセージと学術大会への想い」 (2020年2月)

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第16回 助友裕子先生 後編「女性のライフイベントと若手へのメッセージ」

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第14回 荒尾 孝先生 後編「健康教育分野を担う若手へのメッセージと学術大会への想い」

第13回 荒尾 孝先生 前編 「将来の健康教育分野への願いと学術大会への想い」

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第4回 吉田 亨先生 後編「若手へのメッセージと群馬学術大会に込めた想い」

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第42回 小橋 元 先生 後編 「若手へのメッセージと学術大会への想い」

一流を目指すならどんな人にも伝わる言葉で話す


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━━ 先生は獨協医科大学の副学長もされていらっしゃいますが、大学や研究室等、運営において大切にされていることを教えてください。

  •  大学の中で心がけているのは、システムや仕掛けを作るときには、出来るだけ人と直接やりとりをするということです。行動変容させたいと思って、ルールや力で従わせても、最後には心が動かないと、本当の意味での行動変容にはならないのではないかと考えています。もちろん、意識のあるなしに関わらず行動が変わることで効果がある場合もありますからナッジも必要ですし、三日坊主で終わってしまうこともあります。継続できる仕掛けを上手に作ることも大切ですが、心震えるということも大切だと思います。人生の価値はどれだけ心が震えたで決まるのかも(笑)。 
  •  教室では、公衆衛生を医療・保健・福祉に限らず幅広い分野の方と勉強することを意識しています。他の分野の人にも、小学校5年生でもわかるような言葉で説明し、きちんとお互いに理解しあいながら連携しましょうと伝えています。意を尽くして一生懸命伝えようという態度や熱意が大前提で、厳しいですが、人に伝わらないのは話し手の能力不足と言われても仕方がない。一流を目指すのであれば他の分野の人にきちんと説明でき、連携できる力がなくてはなりませんと教室でよく言っています。 
  •  また、もう一つよく言っているのは、研究で扱うデータについてです。特に他で集められた大きなデータを解析する場合など、ともすれば私たちはそれを数字としてしか認識せずに解析を進めたり、結果を考察してしまう場合があります。しかし、一つ一つのデータは“人”そのもので、データの後ろにはその人の人生があるわけです。データの向こうに人がいる。その研究、解析、考察は人のためになっているか?人がその研究の成果を待っている…ということを、教室員にいつも口を酸っぱくして伝えています。

30年後を見据えた「ビジョン」を持って走り続ける


━━━ 若手に期待すること、メッセージやアドバイスをお願いいたします。

  •  人生において先行きの不安があるのは当然のことです。映画でもスリルがないとおもしろくありません。先が不安なことをネガティブなことだと思わず、むしろ人生の醍醐味だと考えて、どんなことでも自分を信じて挑戦してみましょう。つらいことや苦しいことを乗り越える、また自分が持っていないことを開拓していくことは大変なことですが、「最終的にはうまくいくようにできているんだ」と、その時その時、自分を信じてやっていくことが大切です。
  •  人生や研究活動は、短距離走でもマラソンでもなく、「駅伝」です。自分のベストを尽くして走らなければならないけれど、ペースを乱し、タスキが途切れてしまっては、次の人(世代)に繋がらず、チームが負けてしまいます。若手研究者の皆さんには、とりあえず完走できればいいという気持ちで走るのではなく、出来れば優勝、出来ればシード権を取りたいという気持ちで。しかも、どういうペースで、どういうコースをどう走らなければならないのかを「周到に計算して」走ってほしい。走るのは自分のためでもあり、同時に人のためです。そして必ず次の人にタスキを繋いでほしいと思います。
  •  もう一つは30年後を考えること。これからの時代を活躍していく若い先生方は、世の中がどう変わっていくのかを考え、次の課題に向かっていってほしいと思います。今の社会で、僕らが忘れているものはないかと再確認してほしい。ノーベル賞を受賞した山中教授は留学先で、研究で成功する秘訣は「VW」だと教わったそうです。Vはビジョン(vision)Wはハードワーク(work)。明確なビジョンを持ち、そこに向かって一生懸命にやることが大切です。人類がみんな幸せになるためには、何をしていかなければならないかというビジョンを持ち、努力していただきたいです。

伝統と創造、そしてこれからの健康教育のあり方を考える


━━━ 最後に、学術大会に向けてのメッセージをお願いします。

  •  今回の学術大会のテーマは「伝統と創造」。獨協医科大学の母体である獨協学園を創った先生が「伝統なき創造は盲目的であり、創造なき伝統は空虚である。」という言葉を残しています。伝統と創造はどちらも大切にしなければならないということです。学会創立30年の節目に、今までのことを振り返り、今後世の中はどのように進んでいくのか、この先私たちは何をしていかなければならないかというビジョンをみんなで考え、共有できる時間にしたいと思います。
  •  コロナ禍やSociety 5.0など、社会が大きく変化する中で、今後の望ましい健康教育のあり方を考えていくことは重要です。高齢化社会でみんなが健康長寿を目指す一方で、痛ましい児童虐待の防止も大きな課題です。具体的な生活習慣の改善と同時に、人と人とが良いコミュニメーションを取り、心を通わせ、温かく平和な社会を次世代に繋いでいくためにはどうすればいいのか。今、世界で取り組みが進んでいるSDGsの中で、健康教育の役割を考えることも大切だと思います。禁煙、栄養、身体活動、働き方、地球環境、社会環境…、すべてを包括的に捉えた「生き方改革」には、心の成長が必要な気がしています。本学会で重点課題としているアドボカシーやアクション・リサーチも、「人の心に寄り添い」「人の心を動かす」ための取り組みなのだと思います。
  •  今回の学術大会をきっかけに、今まで健康教育を意識してきた人、意識してこなかった人、学会員以外の人たちも巻き込み、健康教育・ヘルスプロモーションを通して、みんなが幸せになれる道を模索していければと思っています。学会自体はとても短い時間で、出来ることは限られていますが、皆さんそれぞれの目に何かが見える機会を提供できれば幸いです。

1ZOOMにて
小橋先生から、若手へのメッセージや学術大会に向けた想いをお聞かせいただきました。小橋先生が学会長を務められる学術大会に是非ご参加ください。
(中村、伊豆、髙野)

41回 小橋 元 先生 前編 「これまでのキャリア」

小橋 元 Gen Kobashi

【略歴】 北海道大学卒業。研修医・産婦人科医として勤務の後、北海道大学公衆衛生学教室助手、同 大学院予防医学講座講師。2006年 放射線医学総合研究所遺伝統計研究チームリーダー。同 研究企画室長を経て、2015年 獨協医科大学医学部公衆衛生学講座主任教授に就任。2018年より学長補佐、年より副学長、先端医科学統合研究施設施設長を併任。

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「学術大会への想いと沖縄県の健康課題」 

高倉 実 Minoru Takakura

1981年筑波大学体育専門学群卒業,1983年筑波大学大学院体育研究科修了.1983年琉球大学教養部助手,講師を経て,1997年より琉球大学医学部助教授,2005年同大学教授に就任.

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━━━ 学術大会へ向けた想いを教えてください!

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  •  今回は沖縄県で開催するので,沖縄に関するシンポジウムを入れた.みなさんに,改めて沖縄のことを知ってもらおうと思っている.
  •  みんなは,沖縄の健康課題について知っていますか?

━━━ ええと・・・


貧しくも長生きだった沖縄県の不思議

  • ドルチェ&ガッバーナ直営店◆Reversible quilted nylon jacket 沖縄は今まで長寿県で,それはみんなが知っていると思うけれど,現在の詳しい状況を知ってもらおうと思う.沖縄は,年間所得が最低で,進学率も低いし,失業率は高くて,経済状況がよくない.経済状況が悪い所は平均寿命が短く,健康状況も悪いことが多い.でも沖縄は貧しい県なのに,何年か前まで,日本で一番長寿だった.これは社会疫学的におかしいことで,沖縄は特殊な地域.僕達は昔からおかしいな,なんでかなと考えて,気候のせいとか,食べ物がいいとか,社会的な繋がりがいいんじゃないかという話をしていたけれど,これまで学術的に追及して書かれた論文は少ない.これは僕らが作らないといけない!ということで研究を進めてきた.まだまだ足りないこともあるけれど,ひとつずつそういう知見を知らしめたい.沖縄は世界でも注目されている.医学研究科の地域疫学セミナーでイチローカワチ先生を呼んだことがあってね.イチローカワチ先生は僕達と同じように「食べ物や遺伝子とはちょっと違って,社会的な繋がりがやっぱり重要なんじゃないか」と話していた.今回の学会のテーマも「結で作る健康教育」という名前を付けたんだけど,沖縄には「ゆいまーる」という言葉が昔からあって,なにかあったら助けるという助け合いの精神が強い土地柄なので,それが健康悪化のバッファーになっているんじゃないかと考えている.
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  •  じゃないのっていう話もあって,沖縄県は昔から低出生体重児が多くて,胎内環境が悪い中で生まれた子どもが,米国化された沖縄の食事をたくさん食べて一気に太ってしまい,僕ら世代は早く死んでしまうということも考えられる.今も低出生体重児は多いから今後も続いていく可能性がある.でも,イチローカワチ先生が言うには,この状況は男性にはあてはまるが,女性にはあてはまらないのではないかと.「330(サンサンマル)ショック」って,わかりますか? 都道府県別の生命表が5年おきに出されているけれど,その平均寿命の順位をとって,なんとかショックって言っている.沖縄は1995年より前まで男性も女性もずっとトップだった.でも1995年で男性が4位になった.県としては,4位でも長寿だったので,1995年に世界長寿地域宣言をして,順位が下がるのを食い止めようと思ったけれど,2000年に,男性が26位まで落ちてしまった.これが「26ショック」.でも女性はまだトップ.それから下がってきていて,2010年に男性が30位,女性が3位になった.これが「330ショック」.僕は色々な所で,「沖縄県民は330ショックでサンザンな目にあっていますね」と言っているわけ(笑).次の生命表が出る時にはまた落ちてしまう可能性があるけれど,今のところ女性の順位は高いから,DOHaD説だけではやっぱり説明ができない.他に考えられるのが,今まであまり注目されておらず,調査も少なく実態が不明で,科学的に証明されていなかった社会関係が鍵になるのではないかという話になっている.
  • ※DOHaD説:人の健康および疾患の素因の多くは,受精卵環境,胎内環境,乳児期環境にあるという説.


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  •  僕が一番興味があるのは,学校における集団の力.心理社会的,学校環境,学校風土,スクールコネクティッドネス,学校連帯感とか.欧米では,集団の力が個人の健康に影響しているということがたくさん研究されている.それを沖縄でやっている.集団の力とソーシャル・キャピタルは非常に近い概念だったので,ソーシャル・キャピタルを学校に適用して今に至っている.元々,社会や集団の力に興味があって,よくよく考えたら沖縄はそれが強いよねということに気が付いた.今は地域の健康作りの取り組みもやっていて,今度の学会のシンポジウムでも企画した.


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  • 僕らがやっている研究は大規模集団に調査をするが,それは個人個人のデータの集まりでしょ.理論的には,個人個人は全て独立しているはず.その個人を集めたデータについて解析をしている.でも,この学校の子どもと,この学校の子どもは違うよねっていうのがあるじゃない?地域も同じことで,この地域とこの地域は,何かが違うと思うことがある.欧米は地域差がはっきりしていて,この地域は貧困地域,この地域は裕福な地域というのが明らかに分かれている.今では,地域の影響を取り除いて個別の関係をみるマルチレベル分析などが可能になった.でも日本は地域差というものをあまり考えていなかった.でも学校保健で研究をしていて,学校と学校の違いは絶対にあるなと思っていた.

(女子栄養大学駒込キャンパス にて)

インタビュー後編は,先生が歩んできたキャリアと,若手への「必ず役立つ」メッセージを届けします!(新保,町田,中村)

第8回  戸ヶ里 泰典先生  後編 「尺度開発のお話と若手へのメッセージ」


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━━━ SOC尺度をはじめ尺度開発の研究を多くされていますが、その経緯ややりがいは何ですか?

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  •  その尺度を使いたいと思っている人は自分だけでないと思うし、論文になっているとそれを引用できて、その後論文を書くのも楽になり、良いことだと思っています。実際のところ尺度開発に関する論文以外の論文のほうが多いのですが、参照される機会は尺度開発のほうが圧倒的に多いので、多く尺度開発をしている、というような印象になるんだろうな、とも思いました。
  •  翻訳する場合もあるのですが、原版を考えた人も、日本での成果を知りたいと興味を持ってくれたり、自分の尺度が使われることがありがたいと思ってくださいます。その結果をお返していく上でも論文を書くということは大事なことなのではないかと思っています。

━━━ 尺度開発の研究スキルはどのように学ばれたのですか?

  •  大学院修士課程のとき、当時の指導教官である山崎喜比古先生の授業で、尺度開発をテーマに「Scale Development」1)という本の輪読を行いました。それが今も、研究方法論として身に付いています。山崎先生も尺度開発にとても詳しく、目に見えない概念を測る・扱うというのが大事な領域なので、それを扱う方法は絶対に必要だということでその授業が行われていました。それでかなり勉強して尺度開発のステップを学びました。それがいまだにベースにあります。自分が測りたい概念を臆せずに尺度として開発していくというスキルは、社会科学系の研究を行う上では大きな武器になると思います。「Scale Development」は良い本ですね。ICPSR(Inter-university Consortium for Political and Social Research)サマーセミナーでもテキストとして使われていました。すでに版も重ねていると思います。

仲間との出会いから、研究観を身に付ける

━━若手、大学院生の頃にやっていてよかったと思うことはありますか?

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  • 研究の話を直接しているわけではなかったのですが、研究に対する向き合い方や、研究者としての生き様、どういう研究をするのがよいのか、どういう研究がおもしろいのかという部分について、話の端々から受け取っていたり渡していたりしていたように思います。若手の時は、何が、どういう研究が大事なのか、よい、おもしろい研究とは何なのかというような見方や研究観を貪欲に培える時期なのではないかと思っています。
  •  ただ、先輩・後輩の関係は、研究で煮詰まったとき、直接的に手助けしてもらうのとは少し違うと思います。研究というのは結局は自分でやるしかないでしょう。ただ、先輩たちの話を聞くことで、今ある壁は大したことないのではと思えてくることもある。それに、自分を客観視できることもあるかもしれない。煮詰まったときも、救いになったかもしれない。指導してもらうというより、共有したり、自分の見方、考え方、哲学ですかね、それを磨いてくれたような気がしました。それがすごく大事なのかなと思いました。


━━━若手に期待すること、メッセージをお願いします!

  •  自分はかなり特殊な道を歩んでいると思っているので、あんまり真似してほしいとは思ってないんですが(笑)。それに、自分もまだ若手といいますか、駆け出しの研究者だと思っていますので、あまり偉そうなことは言えないと思っています。
  •  この領域はそんなに多く研究者がいないので、この若手の会のようなつながりはすごく大事にした方がいいと思います。たまたまこの領域に来て、たまたま出会った人たちがいると思うのですが、研究室、学会で出会う人たちにしても、何かの縁だと思ってつながりを大事にした方がいいと思います。
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  •  研究は一人ではできないので、共同研究者がいることはとても大事なことだと思います。一緒に研究できる人が周囲にいることはありがたいことだと思います。研究を進めていくうえでは、研究会議というかディスカッションは必須だと思います。一つの方向に向かいつつも、研究者である別の人間同士がお互いに刺激を与えあい、影響しあい、アイデアを化学反応させあいながら進めていくものだと思います。
  •  けれどその中でどこか一人でやらなければいけないことも出てくることになります。データを解析するのはコメントをもらうことはあっても基本的には一人でやります。研究室によっては分担することもあるかもしれませんが、概ねこの領域では論文の執筆は共同研究者からコメントをもらいつつも一人で書くことが多いのではないかと思います。自立した研究者というのは、研究は一人ではできないのだけど一人でやる、というあたりをうまくできる人なのだと思うんですよね。
  •  若手のうちは、学位論文を書きあげるくらいまでは、先行研究や研究方法論に関する知識を身につけ、研究技術を磨くことで手いっぱいかもしれませんし、それで良いと思います。そのあと、若手研究者として道を歩み始めるころは、その辺の研究者同士の距離感だとか、研究者はどういう生き物なのか、というあたりの知識や、研究するってどういうことなのか、自分がどういうふうに研究者として生きていくか貪欲に考えていかないといけない時期だと思います。
  •  また、進路がなかなか決まらないという問題もあるかもしれませんし、たとえ研究機関や実践の場に就職したとしても授業や業務で追われ、それでほとんどの時間が費やされてしまう、ということもあるかもしれません。ただ、若手へのメッセージとしては、研究マインドはどのようなことがあっても持ち続けてほしい、ということでしょうか。どのような方面に行くにせよいろいろな人の後ろ姿を見、話を聞き、失敗をし、迷惑もかけながら、足元を見て自分の研究を一歩一歩進めていくことが大事なのではないのでしょうか。

(2015年11月 放送大学 東京文京学習センターにて)

若手のうちは、研究のスキルを身に付けるだけでなく、研究仲間との出会い、交流を通して、研究者としての生き方、研究観を培う上でも大切な時期であることを実感した、若手の会メンバーでした。(角谷、小島、中村)

文献
1)Robert F. DeVellis. Scale Development THIRD EDITION Theory and Applications. SAGE Publications, Inc, 2012

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第7回  戸ヶ里 泰典先生  前編 
「健康教育に興味を持ったきっかけと、これまでのキャリア」

戸ヶ里 泰典  Taisuke Togari

2001年金沢大学医学部保健学科卒業。2008年東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士後期課程修了。東京大学医学部付属病院看護部看護師、山口大学大学院医学系研究科助教、専任講師を経て、2011年4月から放送大学准教授として研究・教育に従事。

点と点がつながっていく実感



━━━ 今の仕事に就いたきっかけと、現在行っている研究の内容について教えて下さい

  •  アメリカから帰国後、就職したいと考えていましたが、研究を仕事にするには先に博士号を取った方が良いと周りに強く勧められました。悩んだ末、博士課程に進学しようと決めた直後に今のポストに空きがでて、声をかけていただきました。入職するときに上司の武見ゆかり先生と3年間で博士号を取ることを約束しました。結局4年かかりましたが、周りの方々のご協力とご指導のおかげで何とか博士論文をまとめることができ、博士号を取得することができました。
  •  また、現在、坂戸市の食育推進委員を務めています。坂戸市では市独自の食育プログラムを平成19年度から実施しています。坂戸市の食育プログラムでは、プログラムを始める1つ前の学年、つまり食育プログラムを学習していない学年と初めて食育プログラムを学習した学年の小5、小6、中2に調査を実施し、学習効果の検討を行っています(現在継続中)。今年度は、プログラムを始める1年前の子ども達が20歳になります。子どもたちが20歳になる頃に調査を実施しようと当初から計画されていました。そのため、今年度研究面では、この調査の実施が私の最も大きな仕事となります。大人を対象として後ろ向きに子どもの頃の食事を尋ねる研究はありますが、前向きにこの年代の子どもを追跡する研究は日本ではまだ少ないので、過去のデータとマッチングできる子はマッチングして、過去と現在の食生活の状況を比較していきたいと思っています。


━━━これまでのご経験が、現在きれいにつながっているんですね

  • 初めから意図していたわけでは全くないのですが、点と点がつながるってこういうことなんだ、と実感しています。

学生でいられる時間を大切に



━━━若手研究者へのアドバイスをお願いします

  •  大学院生の間は悩むことがたくさんあると思いますが、悩むときはとことん悩むことが大事だと思います。とことん悩んで出した答えは後悔しない、というのが私の持論です。今教員として、学生の悩みもたくさん聞きますが、よく悩みなさいとアドバイスします。さらっと悩んでだした答えは後悔することがあるからです。大学院生は、指導教員から「あなたはどうしたいのか」と聞かれるなど、自分が決断しないといけないことが学部生よりも多いと思います。周りの人に相談しながら、しっかり悩み抜いて決断することを大事にしてほしいです。
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━━━先生は英語が堪能ですが、それでも論文を読むのは大変でしたか?

  •  大変でしたよ。分野が違えば言葉も違いますし、学部から大学院となるといわゆる研究用語に慣れるまでは大変なので、読んで慣れるしかないと思います。


━━━若手研究者に期待することがあればメッセージをお願いします。

  • 若手の会があるのがうらやましいです。私が修士課程に在籍していた時には他の大学院生や、若手研究者との繋がりがあまりなかったので、私の時にもあったらよかったなと思います。
  •  私の場合は、大学で働き始めた頃から、健康教育学会の栄養教育研究会に5年以上関わらせていただいています。他の大学の先生や研究者、現場の方々と交流できる場なので、とてもよい刺激となり、貴重な学びの場となっています。日本健康教育学会はこのように、他職種や他大学の先生との交流が多いのでとても勉強になっています。若手研究者の皆さんには、若手の会のような横のつながりを大切にして、お互いの研究を高め合っていくことを期待しています。

━━━これまでのキャリアで女性研究者としての強みや悩みはありましたか?

  •  女子大に勤めているので、女性が多く、女性であることの強みは良くも悪くも感じてないと思います。女性だからというわけではなく、常に一研究者として何ができるかといったことを考えています。研究の分野が栄養教育、公衆栄養学であることを考えると、栄養学を専門にしていない人の視点は忘れずにいたいと思っています。私自身が違う分野から今の職業に就いているので、余計にそう考えています。学生時代の友人との何気ない会話の中でも、栄養の専門家ではない人の実態や感覚を知ることを大事にしています。これは、女性研究者だからというより栄養学に携わる研究者だからですね。そういった視点は大学の実習で学生を指導する際にも役立っています。

博士号を取得してみえてきたもの

━━━博士号を取得してから何か変化はありましたか?

  •  博士論文を書いている時は、仕事の合間に時間ができたら研究をしていましたし、常に研究のことを考えていました。細切れの時間では研究をすることが難しいので、朝早い時間や夜遅い時間など集中した時間を取るようにして、論文を読んだり、論文を執筆したりして、仕事と研究の日々でした。
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(2015年8月 女子栄養大学坂戸キャンパスにて)

学位を取ることの重みが伝わってきました。様々なご経験を経て、充実した研究生活を送られている姿に、大いに刺激を受けた若手の会メンバーでした(河嵜、秦)。


第5回  衛藤久美先生  前編 
「健康教育へ興味を持ったきっかけ・学生時代のご経験」

衛藤 久美  Kumi Eto

2001年国際基督教大学教養学部卒業、2003年女子栄養大学大学院 栄養学研究科修士課程 修了。2007年ニューヨーク大学大学院 教育学部 修了/MPH取得、2013年女子栄養大学にて博士号取得。2007年~2008年ニューヨーク市保健精神衛生局 慢性疾患予防・管理部 特別アシスタントを経て2009年4月女子栄養大学 栄養学部 助教に着任、現在に至る。


若手の会が目指したい若手研究者!



━━━ 当学会の奨励賞を受賞された喜びを教えてください

  •  本当にありがとうございます。私自身がうれしいのはもちろんなのですが、私以上に周りの方が喜んでくれてくださいました。だから私がこのような賞をいただけたのは、私を今まで育ててくださった先生たちのおかげだと、改めて感謝する機会になりました。

家族のコミュニケーションから食事・栄養へ

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  •  大学の時は、国際関係学科の中で国際コミュニケーション学専攻に所属していました。コミュニケーションや社会学・心理学など、生活や人に密着した分野に、そのころから興味があったのだと思います。その中でも親子関係や家族関係に興味があり、文献などを調べていく過程で、家族がコミュニケーションを図る場としては食事の場が大きいのではないかと考えました。そこから食事や栄養の方に関心が動いていったのですが、文系中心の大学だったので、それこそ健康教育も栄養学もないですし、図書館に行っても全然資料がないので、どうしようと思っていたところに出版されたのがこの本だったんです。「知っていますか子どもたちの食卓」という、当時女子栄養大学の教授でいらっしゃった足立己幸先生が、1999年に全国の小学生を対象に調査した内容を一般向けにまとめた本です1)。この本を手に取る機会がたまたまあり、これを読んで、こういうことがしたいんだと思いました。このことがきっかけで大学院に進学したいと思うようになり、足立先生にお話を伺いに行きました。そうしたら、翌年にアメリカで同じ調査を行う予定があり、「じゃああなたその調査で修論書けばいいわよ」ということになりました。そこから栄養学の勉強を始め、修士課程に無事入学することができました。今思うと、本当にすごいご縁だったなと思います。

インタビューから着想した研究テーマ



━━━修士課程ではどのような研究をされていたのですか?

  • 【 Angel R 】エンジェルアール ふんわりミニドレスそういうわけで、最初はアメリカで共食に関する調査をするつもりだったのですが、同時多発テロ事件があって先延ばしになってしまったんです。どうしようかとなって、結局、修士2年の時に、子どもたちにインタビューをすることになりました。元々、足立先生の調査では、共食をテーマにしていて、誰と食べているかということが中心だったのですが、私の場合は学部の時に家族コミュニケーションを勉強していたので、共食をしている時にどんなコミュニケーションがあるのかというところまで掘り下げたいと思っていました。小学校5-6年生を対象としたグループインタビューを4グループに実施したところ、その中で少数ですが、家族は会話をしているけれども、親やおじいちゃん、おばあちゃんのような大人が話をしていて、自分はそこに入れないからつまらなかったという子どもがいたんです。そういうことは全然想定していなかったので、子どもが会話に参加しているか、子どもが自分から話すかどうかということに注目することにしました。インタビューをベースにして質問紙調査を行い、食事中の自発的コミュニケーションにフォーカスして修士論文をまとめました。

アメリカでの大学院生活

━━━ニューヨーク大学大学院でのご経験について教えてください

  • 【直営店】ビーピーベラ 海外セレブ愛用 いちご ピアス栄養教育や公衆栄養の勉強を深めたいと思い、ニューヨーク大学大学院に留学しました。そこでは、公衆衛生学プログラムの中で公衆栄養学を専攻していて、Master of Public Health(公衆衛生学の修士号)を取得するための必修の一つにインターンシップがありました。研究というよりは実践に近い形で、低所得層を対象に様々な食生活支援をしているNPO法人が行っている栄養教育プログラムに関わりました。低所得層の子どもが多い小学校では野菜・果物の摂取不足と肥満が大きな問題だったので、野菜をもっと食べようとか、野菜と親しくなろうといったプログラムを行っていました。アメリカでは、「野菜をもっと食べる」、「炭酸飲料を減らす」、「炭酸飲料の代わりに水を飲む」といった栄養教育が多かったです。アメリカ人にとっては、シンプルイズベストというか、とにかく具体的ではっきりした目標がより効果的な栄養教育になるという考え方なので、日本のような、バランスのよい食事について理解するという栄養教育はちょっと複雑だと思われているようです。私は逆に、それは日本らしさだと思っています。日本の栄養教育も素晴らしいので、日本の栄養教育をもっと海外に発信しなければいけないのでは、と感じました。
  •  また留学中には、先ほどお話した、日本の修士課程在学中に延期になってしまった調査を、コロンビア大学ティーチャーズカレッジ(教育大学院)のコンテント教授らと足立己幸先生の共同研究として、実施することができました。コンテント教授は栄養教育の第一人者で、行動科学理論に基づいた栄養教育の専門家です。TPB(Theory of Planned Behavior, 計画的行動理論)をベースにした共食に関する調査票を設計し、郵送法で調査を行いました。また同じ時期にコンテント教授が担当されている栄養教育の授業を履修する機会も得ました。その時の教科書がこちらになります(写真参照)。その日本語版が今年の4月に出版され、私も監訳者の1人として関わらせていただきました2)。

(2015年8月 女子栄養大学坂戸キャンパスにて)

インタビュー後編は、博士号取得時のご経験や、若手へのメッセージをお届けします!

  • 文献
  • 1)足立己幸,NHK「子どもたちの食卓」プロジェクト. 知っていますか子どもたちの食卓―食生活からからだと心がみえる. 日本放送出版協会,2000
  • 2)Contento IR.足立己幸,衞藤久美,佐藤都喜子監訳.これからの栄養教育論―研究・理論・実践の環.第一出版,2015

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第4回 吉田亨先生 後編「若手へのメッセージと群馬学術大会に込めた想い」 

(2015年3月)

進路を左右したのは人とのつながり



━━━―博士課程修了後の進路について教えてください!

  •  博士課程を修了した後は、宮坂忠夫先生が紹介してくださった神奈川県予防医学協会というところで1年3ヶ月ほどお世話になりました。具体的な仕事内容は、広報活動、健康教室イベントの企画、事業年報、デパートでの健康教室などかな。江の島で女性を対象にした健康教室は1から10までしっかり取り組んだね。そのあと、大学の助手になってからも対象者へのフォローアップや学会発表などもしていましたね。
  • その間に東大では川田智恵子先生が講師になられて、助手のポストが一つあいたので、声をかけて頂いて、東大にもどったという感じですよ。12年半程、東大の助手をしていましたが、今では任期制が多いので長いですよね(笑)。



━━━―助手の仕事、留学をしたきっかけについて教えてください!

  • 助手時代は悩みの時代でした。健康教育の転換期だったのかなと思います。健康教育なんか「時代遅れ」っていう先生もいた。日々の仕事に加えて、この悩みを整理するのが大変でした。大学院の時に一人で読んだ「Green」の健康教育計画からは大きなインパクトを受けていたけど、それだけでは、当時勢いを持っていた「健康学習」を消化できなかった。
  •  助手の間に1年アメリカに留学をしました。きっかけは、IUHE(International Union for Health Education)の日本誘致が決定したこと。でも正直、日本で開催できるかわからなかった(笑)。そのとき、豊川裕之先生がハーバード大学留学の話を教えてくれた。実は事務文書の応募条件にミスがあって、応募者は自分だけで、留学は「青天の霹靂」でしたね(笑)。



━━━―留学を経て得られたものは何ですか?

  •  留学から帰ってきて周囲から「自信が付いた」と言われました。今と違って、インターネットもないから、情報にタイムラグがあるし、アメリカの社会の仕組みがわかってよかった。公衆衛生分野では、日本とアメリカは全く違う。その差を実感できたところがとても大きかったですね。日本だけみていたら、なんでアメリカではこんな研究をしているのだろうって思っていたと思う。


━━━―群馬大学に就任したきっかけは何ですか?

  •  (これもまた)全くの偶然です(笑)。群馬大学に保健学科を設置する際、今の私のポジションが急に空席となり。群馬大学の学長から川田先生に誰かいないですかという相談が来て、私が行くことになりました。

時間と環境は大切に

━━━―若手へのアドバイスをお願いします!

  • 「時間」は若い時にしかないので、「時間」を大切にしてほしい。立場が上になるほど自分の判断で使える時間が少なくなる。自分の時間を使えるのは若い時の特権。私自身、修士の頃は文献を読みあさっていました。また、環境は選ぶべきだと思う。特に若いうちは環境を自分では作れないですし、能力がある人でも、環境が悪いと伸びないこともあると思うので。例えば保健分野に関してだったら、体系的に勉強できる環境が良いと思う。修士レベルだと体系的な知識を持たずに、目の前の課題を解くためだけに研究していることが多い。研究方法に関するトレーニングが足りないとも思う。だから、いくつかの研究方法をしっかりと学んだうえで、それらを選んで使えることが理想だと思う。

実践家でも大学院の門をたたいてみてほしい

━━━―実践家が研究する際には、どのように研究手法を学んでいけば
    良いでしょうか?

  •  大学院に入ることが、一つの手段だと思う。特に地方であれば、大学院は社会人学生を主なターゲートとしているところも多い。実際、群馬大学大学院の保健学研究科について言えば、多くが社会人学生です。群馬大学の大学院では、志のある実践家が大学院に来て勉強し、それを職場に持ち帰って現場に広め、そこで興味を持った現場の人が、また大学院に来て勉強するという循環を目指している。

━━━―最後に、第24回の学術大会には、どのような思いがありますか?

  •  お世話になった衛藤 隆先生が決める最後の学会長を務めさせて頂くことが出来てホッとしている。「Community Organizingと健康教育」というテーマは、私が健康教育を始めたころから持っていたテーマ。メインのシンポジウムの、社会教育・地域福祉・地域リハビリテーションでは、分野は違うけれどやろうとしていることは皆同じで、お互いに脇を見て一緒にやった方がいいんじゃないの、という話になればいいなと考えている。健康教育、社会教育、福祉教育など、教育が付く言葉はたくさんあるが、本質的にはどれも変わらないと思うので、そういったものを共有できる場になればと思っている。副学会長の笠原賀子先生のお力もあり、無事に学会が出来そうです。是非、たくさんの方に足を運んでいただければと思います。
  • (2015年3月 群馬大学昭和キャンパス 共用施設棟にて)

吉田先生から、健康教育への熱い想い、若手へのメッセージをいただきました。今が、自分の時間に全力で打ち込める「若い時」なんだなと、奮起する若手の会メンバーでした。(松下、町田、中村)

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第3回 吉田亨先生 前編「健康教育の道に足を踏み入れる」

吉田 亨  Tohru Yoshida

1983年東京大学大学院修了。東京大学医学部助手、ハーバード大学公衆衛生大学院特別研究員を経て、1997年から群馬大学医学部教授。2011年から 群馬大学大学院保健学研究科教授として地域健康推進学研究、教育に従事。東京大学大学院医学系研究科、大分医科大学などで非常勤講師を務めた。

自分の経験や人との関わり



━━━― 健康教育を勉強し始めたきっかけを教えてください!

  •  私が高校3年生のときは工学部に進むつもりでしたが、浪人中に物理と数学はこれ以上できないなと感じて断念。なにをやるか決めないまま東大理科二類(農学部・生物系)に入ったけれど、「農業やってもなぁ~」ということで、「みんながやらない、なにか新しいことをやってみよう」という気持ちが強くて、その選択肢の一つが保健学でした。最終的な候補に残ったのは、教育学部の健康教育学と医学部の保健学科でした。大体自分で歩んできた道を選びたいことが多いじゃないですか?ある程度、自分の経験があるから。それで、保健学のなかでも学校健康教育を中心に考えたのでしょうね。
  •  そもそも大学を卒業した後は、研究者になるなんてこれっぽっちも思ってなかった。東大って変なところで、1年生になったばかりのクラス30数名で、研究者になりたいって奴が4-5人いたのね。研究者って何するんだって感じだった!(笑)当然、保健学科へいっても4年生終わったら就職するつもりでいたのですけど、いろいろと事情があってこんな事になってしまって…。



━━━― いろいろな事情とは?

  •  東大の保健学科の前身として、普通の入学とは別枠で入試をして、保健婦・看護婦を養成する4年制の衛生看護学科があったんですよね。この学科を改組して保健学科が作られた。しかし、保健学科は医療上の資格をなにも出していない。私はそんなことを知らないから、当然保健学を勉強して就職して、保健学に関係する仕事をしようと思っていたんですよ。ところが、医療上の資格がないでしょ?例えば、衛生行政に入るとしたら事務職で入るしかない。事務職で入ると保健所長にもなれない。じゃあどうしようかな?って思って、保健学科の先生(豊川裕之先生)に相談したら「健康教育をやりたいんだったら宮坂先生のところへ行けよ」という話になって、それで大学院に行くことにした。ついこの前、豊川先生にこの話をしたら「そんな話、したっけ?」って、数多くある相談の一つにすぎなかった(笑)。


人と関わる仕事が健康教育



━━━―健康教育に興味を持った理由を教えてください!

  •  私は小さい頃にリウマチ熱という病気をしてて、幼稚園の頃2年間は、冬の間、家で寝ていた。病気の体験があって、病気を意識せざるを得なかった。それから小学校1年生のときに、同じように心臓が悪い子がいて、その子と一緒に小学校1年生のとき体育はずっと見学をしていた。でも、その子が小学校4・5年生くらいに亡くなったという話を聞いて。当時、家の事情などに恵まれて、ちゃんと治療してもらえたんだなという気持ちが凄くあって、健康や保健の方に行った気がします。
  •  私の通った高校はちょっと変わった高校で、現在でいう総合学習の時間があり、そこで健康に関することをやっていて、その時の問題意識が残っていて、また、直接人に関われる仕事をしたくて健康教育かなという感じだったかな。当時、保健学科で社会との直接的な関わりや、普通の人・一般の人と関わりをもった仕事ができるところは、私がいた保健社会学だけだったのかなと思います。
  • (2015年3月 群馬大学昭和キャンパス共用施設棟にて)




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インタビュー後編は、博士号取得から現場での仕事を経て現在に至るキャリアと若手への熱いメッセージをお届けします!


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第2回 神馬征峰先生 後編「健康教育へ興味をもったきっかけ・若手へのメッセージ」

自分の関心だけでなく、周囲の人々との出会い



━━━健康教育に興味をもったきっかけは何ですか?

  •  公衆衛生院にいた頃の影響が強かった。第1に久常節子先生を初めとするスタッフ。特に久常先生は当時から日本の保健師のリーダー的存在だった。第2に公衆衛生院・修士課程の栄養士や保健師の同級生。「医者だからって偉そうにするな。現場のことを知っているのは、保健師であり、栄養士であり、私たちこそが住民の声を常に聞いている」と、何度も叱られた。こういった人たちにはそれまで出会ったことがなく、強い刺激を受けた。
  •  また、久常先生の推薦で医学書院の保健師や看護師テキストの執筆を始めた。依頼された健康教育について書くために大いに勉強した。当時ヘルスプロモーションを引っ張っていた島内先生や岩永先生とも公衆衛生院で会う機会を得、ヘルスプロモーションが日本に入ってきた頃の情報を得た。97年には、プリシード・プロシードモデルの第2版のテキストを岩永先生たちと翻訳した。2005年に第4版を。そうして、健康教育、ヘルスプロモーションの理解をどんどん深めていった。
  •  当時の公衆衛生院は建物の造りがとてもよかった。教室のドアはたいていいつも開けっ放し。学生でも誰でもいつでも自由にいろんな先生の部屋に入れる雰囲気があった。動物実験はしていたけれども、ふらふらといろいろな先生のところに行った。生きた公衆衛生を学べる構造だった。また、保健所で生活習慣病のための講師をやることもあった。そこで家庭の主婦等が、実際どういう悩みを持っているのかを現場で体験した。こうして理論と実践を、公衆衛生院を基地として学べたことがよかった


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海外での経験が将来の夢への意志を強くした



━━━―若い頃に経験して良かったことは何ですか?

  •  学生時代、海外に3回行っている。最初は大学2年生のとき、日米学生会議でアメリカへ。大学4年生のときに、インドに一人で2か月。それから5年生のときに台湾に1~2週間。
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  •  また、大学の頃、途上国の仕事をしたいと思っていたので、いつかはWHOに入りたいという気持ちが強かった。そのため、英語を相当しっかり勉強した。自転車に乗りながらヘッドフォンで常に英語を聞いていた。ただ学生時代は十分にやり切れなくて、公衆衛生院に入ってから始めたのが、英語のライティング。ライティングのコースに出ていた。英作文と違って、パラグラフ・ライティングなどは直接指導を受けないとなかなか自分のものとして身につかない。しかし一度身につけば一生役に立つ。
  •  そして、芸術としては茶道をやっていた。昔やっていた柔道の影響で何とか道というのが好きだった。海外に出て柔道ができなくなって、裏千家の人と出会ってやるようになった。他にも、禅寺での座禅やキリスト教など、宗教的な雰囲気に触れていた。日本の伝統的な華道とか茶道とか、飾りじゃない、本来持っているものの良さに触れる。そういうのも長い目でみれば重要な体験だったと思う。

自分の可能性を大胆に広げること



━━━―最後に、若手に期待すること、メッセージをお願いします。

  •  殻を突き破る。自分に制限をつけない。自分は○○大学だからあれができないのではないか、自分はこういう専門分野にいるからこれはできないのではないかとか、できないことにこだわらない。できることをもっと広げていく。自分の可能性をもっと大胆に広げていく。それが若い人にとっては大事だと思う。自分は今でもそんな気持ちでやっている。
  • (2014年12月 東京大学本郷キャンパス 国際地域保健学教室にて)

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神馬先生から熱いメッセージをいただき、今できることはなんだろうと改めて考え、最大限のことを全力で取り組もうと心に誓った
若手の会メンバーでした。 (小島、新保、松下)

第1回 神馬征峰先生 前編「これまでのキャリア」

神馬征峰  Masamine Jimba

1985年浜松医科大学卒。飛騨高山赤十字病院、国立公衆衛生院、ハーバード大学公衆衛生大学院を経たのち、1994年からWHO緊急人道援助部・ガザ地区/ヨルダン川西岸地区事務所所長。1996年からネパール学校・地域保健プロジェクトリーダー。2001年からハーバード公衆衛生大学院、2002年から東京大学大学院にて国際保健研究・教育に従事。

希望と違う仕事をやり続けた7年間 
「やるからには一人前になれ」

━━━これまでのキャリアとそれを選択したきっかけを教えてください。

  •  最初に勤めたのが飛騨高山の赤十字病院。いくつかの有名な研修医病院を受けたが、全部落ちた。たまたま求人をみつけたところが高山赤十字病院。面接で院長と話が合い、2年間就職した。ただ学生の時から国際保健の仕事がしたかったので、いつか途上国の仕事がしたいと思っていた。
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  •  ところが行ってみると全然話は違っていた。まず、臨床ができない。しかもやり始めた仕事はネズミの動物実験。一番嫌っていたこと。ただ入ってしまったからには仕方がなかった。それでも、動物実験をやりつつ、公衆衛生の諸先生と知りあえた。実験をやっていたから、数字の扱い方とか、基本的な統計とか、そういう勉強もしっかりできた。
  •  とはいうものの、それを一生続ける気はなかった。当時、東京大学の公衆衛生学教授だった山本俊一先生に相談したところ、自分の経験を語ってくれた。公衆衛生学教室入局後しばらくして教授が代わり、山本先生はそれまで関心がなかったツツガムシ病の研究をやることになった。ツツガムシ病はネズミを媒介して感染する病気。日本くまなくネズミ捕りを10年くらいやって、日本で「俺ほどネズミ捕りが上手な人はいない」というくらいになった。それと同時に疫学のプロとして成長した。「やるからには一人前になれ、ネズミ取りよりはいいだろう」、「自分の専門分野で一人前でない者が何を言ったって誰も聞いてくれない。とりあえず今の分野で一人前の論文が書けるまでそれをやれ」と助言してくれた。それにしたがって、ネズミの研究をずっとやった。どれだけやったかというと7年間。

つながりからのオファー
自分がしたいことを人に話す


  •  ただ途上国へ行きたいという気持ちはずっとあった。でも、7年も経つとそろそろ無理かなって思いだしてくる。そんなある時、ボストンの寿司屋でA型肝炎をもらって、日本に帰ってきて約1か月入院。退院後は以前ほど仕事ができなくなり、辞めてもいいかなと思い始めていた。
  •  そうしたところに、公衆衛生院の元同級生でWHOに行っていた友人から、WHOの仕事に就かないかという誘いがあった。NGOや赤十字で働かないかというオファーも来た。当時から結核研究所にいた石川信克先生に相談したところ、「WHOにはなかなかいけるチャンスが巡ってこないからWHOにしたら?」という。そこでWHOの仕事を選んで、ガザ地区へ行った。ガザ地区とヨルダン川西岸地域で2年間働いて、その後どうするか。残りたい気持ちはあった。しかし、当時WHOの財政基盤が悪化しており、WHOに留まらない方がよいと言われていた。そこでネパールのJICA・日本医師会によるプロジェクトに移った。当時ネパールでJICAプロジェクトの専門家をやっていた先生が後継者を欲しがっており、これは良いと思ってネパールに行くことにした。
  •  ネパールで働いて5年目、東大のこの教室の前任である若井教授がネパールにやってきて、現職を紹介してくれ、応募することにした。特にネパール行きは自分で選んでというよりは、話が来て飛びついた。大学についてもそれしか選択肢がなかった。ただそのためには、いろんなところで、自分はこれがしたいと主張していたことがきっかけになったと思う。公衆衛生院の時も途上国で仕事がしたいと友人に話していた。相談した先生たちはキリスト者医科連盟とか、キリスト教海外医療協力会というNGOで知り合った先生たち。そのつながりで多くの機会を得た。学外のNGOつながりが大事だったのかもしれない。

━━━複数の選択肢があった時はどのように選択しましたか?

  •  結構直感で選ぶ。ガザの時は面白そうだなと思って決めたし、ネパールについては、学生時代からの諸先生の影響を受けていた、いつか行きたい国だった。直感ではあるけれども、その前に、直感を強めてくれた準備状況はあったと思う。
  • (2014年12月 東京大学本郷キャンパス 国際地域保健学教室にて)

インタビュー後編は、健康教育へ興味をもったきっかけや若手への熱いメッセージをお届けします!

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